野生麹は本当に運よく見つかりました。山の神様に感謝です。ありがとうございました。
次の課題は、杜氏も最も神経を使うといわれる米麹づくりです。
米麹にはもちろんお米が必要です。しかも菌の採集でも使用した自然栽培米を確保することが、米麹づくりでは重要です。
ササシグレなどの自然栽培米は島根県では作っていません。わたしは地元で米麹に最適なお米はないものか探すようになりました。そんな時、
鳥取の八頭町で野生の麹菌から味噌をつくっている藤原さんの話を戸谷さんから聞き、一緒に見学に行くことにしました。
見学が終わって藤原さんと味噌の話をしているときに、
「そういえばウチのお米、安来のお米ですよ」
「亀治米、知りませんか?」
「蒜山の農家さんから買っていますが、安来のお米です」「米麹にするとすごくいいんですよ」
初めて聞くお米の名前でしかも県外の方から教わるとは!ありがとうございます!
「えーー!安来?戸谷さん地元じゃん」
「亀治米いいね!作ろうよ」
と、とんとん拍子に決まりました。
亀治米は島根県安来市で明治 5年に作られた品種です。
当時の農家を悩ませていたのは、稲の葉や穂を枯らすいもち病でした。
広田亀治さん(ひろた かめじ)が何年もかけて選別した品種は、病害虫に強く収量が多いことから農家に好まれたそうです。
明治から昭和初期まで、島根県内で最も多く作付けされただけではなく、中国地方や関西、九州、さらに台湾にまで、栽培が広がるようになりました。
農業に大きな変化をもたらしたこの米を、人々は尊敬の念を込めて亀治米と呼んだのです。
亀治米はいもち病に強くしかも多収が好まれ、明治から昭和初期まで県内で最も作付面積が多く、中国地方や関西、九州、さらに台湾まで広く栽培されていました。
わたしは新聞記事から亀治米のことを辿って、今でも安来の荒島で栽培を続けておられる方がいることがわかり、戸谷さんと一緒にその方を訪ねて種籾を分けていただきました。
安来の奥田原で戸谷さんに栽培をお願いしながら、わたしも田植えや除草を手伝っています。
亀治米を一年作ってみて、
一般の肥料有りの田んぼで作ると背が高くなって倒れやすいと聞いていましたが、無肥料で作るとちょうどよい高さで成長がとまるので自然栽培に向いている。
同じ田んぼで前年はいもち病で収量が悪かったが、いもち病が発生せず、収量も上がった。
少々雑草が生えていても収量が上がった。除草剤などが無かった時代のお米なので雑草の影響を受けづらいのかもしれない。
2023年の夏の今、二期目に入り亀治米の作付け面積も増え、順調に育っています。
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